EndlessSeventeen


CapriciousCat 01(主人公視点)

携帯には、『17歳の誕生日おめでとう』のメール。今年はどこかなーと思いながら部屋を見渡す。
基本的には変わらないんだけど、今日は少し色調がちがって、古いインテリアみたいだった。
窓も古風な枠になっていたし、窓から見下ろす景色は現代日本とは程遠い。
初めての場所か、来たことのある場所か、それはしばらく生活しないとわからないものだ。

何処だかわからない場所で自分から部屋を出るのは、何度やっても億劫だけど、こればかりは仕方がない。

ドアノブに恐る恐る指をかけて開けてみると、なんだか見たことのあるような場所。


『いらっしゃい』

大きな机や絵画、不思議な雑貨屋本がたくさんある部屋に、老人がいた。
ひとりは、少し髭が長くなっているけど見覚えのある老人だ。

『おじゃまします』

まるでわかっていたかのように迎えられた。

……であってるかのう』

髭をもにもにといじりながら聞いてくる老人は、多分アルバス・ダンブルドアだ。俺の実際見たダンブルドアよりも少しふけて、原作よりは若いといったところ か。しかもホグワーツみたいだから、トムが在学中ってところだろうな、と理解した。その軸ってことの発端だから、すっごく重たいんだよな。

『あってる。あなたは、アルバス・ダンブルドア……?』
俺が名前を言うと、彼はこくりと頷いた。

『アルバスと呼んでくれ』
にこりと笑って、俺に座るように声をかけた、アルバス。


トムは俺が消えてしまったことを、アルバスに言ったらしい。
孤児院のスタッフたちは自立したと思い込んでいたがトムにとっては俺は忽然と姿を消したことになる。アルバスはその話をトムから聞いたのだとか。正直トム はアルバスに見つけてもらおうと思ったのではないか。
まだ魔法はおろか他の知識も薄い子供だ、不思議なことができるとはいえ、トムにはどうしたらいいかわからずアルバスに声をかけたのだろう。

『トムは、今何年生?』
『四年じゃよ』
事が起こるとしたら来年だ。その前に俺にできることってあるだろうか。
トムが出生の秘密を知っても、純血主義であっても、トム・リドルでいてくれる未来が作られるだろうか。

『俺は、どうしたら?』
『わしにも、どうしたらよいかわからんのじゃ』

トムの証言は今までいなかったようなのにふっと現れてふっと消える、一年間だけ存在する、とのことで、あながち間違いではない。というかガッツリあってい る。

『俺は、1年間だけここにいる』
『トムもよろこぶじゃろう』
『大事なのは俺が消えた後……』
俺がそういうとアルバスははっとする。
『俺がいるときは見ていられるけど、……俺が消えたら、俺はトムに手出しはできない』

『……だからこそ、今なんじゃよ』

アルバスは少しだけ目を細めて笑った。







『それで、俺どうしたら?』
『そうじゃったそうじゃった……ふむ、さて……司書アシスタントでもしてもらおうかの』
『わかりました』

2011-01-11