ハロー、十七歳の俺。今回で何回目の十七歳だ?十回目とか?実年齢はピー歳……?一番せつないのは実年齢がおじさんくらいになった頃。80とか超え
ちゃう
ともう気にならなくなるのかな。でも環境がころころかわるせいか、おっさんみたくなったり、古臭い考えしたりとか、心が枯れたりしていない。
毎年生まれ変わるような気持ちだ。
こんな生活にも慣れてきて、また俺は十七歳の誕生日を迎えたわけだ。今回はマンション住まいで、外を見てみると池袋駅が見えた。以前池袋周辺に住んでいた
からまたあの世界なのかなと理解した。とりあえず前回来た時から何年経ったころあいなのか、前に会った人々に会ってみないとわからないものだ。
『来神学園編入案内書』
ずず、とコーヒーを飲んでいた俺はテーブルの上にあった書類に視線をやってから噴出しかけた。ここしばらくニートだったので学校に行かなきゃ駄目な設定が
久々。
この歳で高校生か。十七歳だから二年生。来神って名前からして、静雄とか臨也の時代じゃないかと思う。在学中じゃなかったら俺がここに飛ばされた意味がな
い。絶対どっかの学年に静雄たちがいる。
俺が転々としているうちに気がついたこと、いくつか目。それは大体キャラクターと絡む機会がある。ほかにもいろいろあるけどそれは追々。まだまだ知らない
ことも、それも追々。
クローゼットを空けたらかかっていた学ランとブレザー、どっち着ようかと悩んでブレザーをひったくってテレビをつけた。
今日の天気と占いを見て、前の世界で買っておいた食パンをトースターに入れて焼いて食べ終えて、苦いコーヒーをずずりと啜って眉をしかめてから家から出
た。
編入案内書には、今日学校に来るようにと書いてあったから。
今日は転入初日の模様。
ここから学園までは徒歩で十分ほど。
駅に近いマンションなので、駅から学園までの地図を見れば難なく行くことができる。
途中何人かの同じ学校の生徒と思われる人の背中を見て、あとは地図なしについていけばいいやと、ショルダーバックを背負いなおし、ウォークマンの音量を上
げた。
「編入生の
く
んだね」
「はい」
事務員の男性にこくりと頷き、ショルダーバックに入っていた上履きを履いて、職員室まで案内される。担任と思しき女性教員に引き継がれ、また自己紹介みた
いなことをして、されて、そして俺は二年の教室へ案内されることになった。
「
で
す、よろしくー」
教室を見渡す限り、金髪やら黒髪やらはいるけれど、すごく長身で金髪で目つきの悪そうな静雄や、黒髪で赤い眸で眉目秀麗だけど嫌な笑みを浮かべている臨也
とかはいなかった。
眼鏡で変態そうな新羅も、オールバックで兄貴な京平もみあたらない。ほかのクラスかはたまた学年か。
「よろしくなー
」
「よろしくね」
隣の席や前の席のやつがちょこちょこ話しかけてくる。
「な、この学校問題児とかいるのかな?」
「え」
隣の席の人に授業中こっそりと聞いてみると顔が固まる。静雄や臨也のことを考えているのだろうか。
ドンガラガッシャァァァン!!!!!!!!!
「!」
「テメー臨也ァァァァァアアァ!」
「危ないなァ静ちゃんはー・・あははははは」
「あれか」
「う、うん……一年の平和島と折原」
一年、ということは一つ下。
後輩になるのか……なんてのほほんと考えて、耳をつんざくような騒音に人知れず笑った。
2010-11-04