Sakura-zensen


サクラ前線 02

サスケと組手をよくやるようになって、生傷の耐えない生活を送っていた俺はある日リーさんという一つ上の先輩に出会った。
この人こそ体術の先輩だ!今は下忍になったばかりだというけど、担当上忍の先生が体術を熱心に教えてくれてるらしい。ガイ先生か……い、いいなあ!熱血は趣味じゃないけど、嫌いじゃない。俺、ブルース・リーとか好きだし。
サスケとやりあう為にはサスケとばかりやってたら駄目な気がして、俺はリーさんに教えを乞うことにした。
「リーさん、体術教えてくれませんか!」
「ボ、ボクがですか!?」
「はい!もしくは、相手をしてほしくて」
両手をぎゅっと握って下睫毛をじいっと見つめてたら、ガタガタ震え出した。リーさんって女の子苦手だっけ?
手を離したらおちついてくれたけど「ボクは人に教えられるレベルではありません……でも、あの、相手ならいつでも!」と了承してくれた。うわーい。あわよくばガイ先生にも見てもらえたらなーと思いながら、リーさんの自主練方法を教えてもらったり、おすすめの筋トレメニューを教えてもらったり、組手の練習をさせてもらってた。
最近ではサスケの攻撃を避けるのに余裕が出て来たし、攻撃のスピードも上がったと思う。パワーの方はどうも、筋力が足りずに威力はいまいちだ。
あ、そうだ!チャクラコントロールの練習をしよう!よく漫画で見る拳ひとつで地面を割るやつができるかも……。その為には木登りからかな?防御や攻撃、威力向上にもチャクラは使えるって言うし、そうしよう……。
「君がリーの言っていたサクラか!」
「ほあああ!」
リーさんとの約束に時間があるから、木陰で精神鍛錬っぽく瞑想してたら急に声をかけられて木の幹に頭をぶつけた。
さすが忍……気配がないぜ。
「む、すまん」
頭を抑える俺を見下ろしたのはリーさんと似た太マユのガイ先生だ。
「大丈夫ですか、サクラさん!」
「あ、だ、大丈夫です。リーさんこんにちは、ガイ先生も」
「おお、オレのことを知っていたか!」
「お噂はかねがね!」
立ち上がって挨拶する。どうやらリーさんはガイ先生に俺の事を話してくれたらしく、今日は一緒に修行をさせてもらうことになった。やったね!
「なかなか見所がある!しかしやはり、威力に欠けるな……」
「そう思って、チャクラを使った体術も考えてるんですけど」
「なるほど、それは良い手だな」
あっさり蹴りも拳も弾かれた俺はガイ先生と相談中だ。ちなみにリーさんはランニングに行った。
チャクラコントロールってぶっちゃけどうやったら良いのかわからないし、サクラちゃんはわりとすぐに木登りが出来るようになってたけどそれはサクラちゃんであって、俺はナルトたちみたいにどっしんどっしん木から落っこちた。
「なんかコツってありますかね」
「考えるんじゃない……感じるんだ!」
「も、燃えよドラゴン……!」
「ん?ドラゴン?」
「えっと、ガンバリマス!」
まさかガイ先生から素面でそれが聞けるとは思わなかった。リーさんじゃないんだ。いや、まあ良いけど。
感じろって言われたけどぶっちゃけ考えないと駄目だよねって思って、結局自己流で練習した。

体術がめきめきと上達しているらしい俺は、サスケが気にかけるレベルにはなっているらしく、放課後になって声をかけられた。流れで一緒に帰ることになったけど、イノちゃんたちに見られてませんよーに。
「お前、普段どんな練習してるんだ」
「え?」
別に秘密特訓でもないから自主練のメニューと、先輩と上忍に知り合いがいて相手してもらってることを教えたら納得された。木登りの練習は、カカシ先生がいつか教えるだろうから言わないでおこう。サスケが出来る様なったらナルトがおいてけぼりになっちゃうし。
「先輩も先生もすっごい強いんだ。勉強になるよ」
「……オレより強ぇのか」
「うん?うーん、そうだね、強いと思う」
リーさんの方が攻撃素早いし、力も強かった。忍術混ぜられるサスケの方が総合的には強いかもしれないけど、体術の極めっぷりからしたら多分リーさんのが上だと思う。ネジさんはどうなんだろうなあ、柔拳とやらは食らいたくないから話題にした事はないけど。
不機嫌そうにしたサスケは「どんなやつだよ」って聞いて来る。まあ、復讐誓ってるから強くなりたいんだろうけど、どんな奴と言われてもなあ。
「シタ、シタマツゲ……マユゲ……サ、サワヤカ???」
「は?」
「……下忍だから、卒業したら会う事になると思うよ!リーさんもガイ先生も」
「リーと、ガイ」
「うん。あ、じゃあこっちだから。ばいばーい」
分かれ道にきたのでサスケに手を振って別れた。

木に登れるようになった。でもまだ攻撃を受ける所にチャクラを密集させられるほどの反射はできてない。まあ、それなりに上手に使えるようになったと思う。忍術の精度だって上がった気がする。分身の術はナルトみたいには出来ないけど数名なら出来るし、変化したまま忍術も使える程度にはなった。噂の怪力にはほど遠いけど、落ち着いてチャクラコントロールしればある程度の壁ならヒビを入れられる。
アカデミーを卒業した後は下忍になることになっていて、俺は説明会に来ていた。教室で先生が来るまでぼけーっとして待ってたらサスケが無言で俺の隣にどかっと座った。俺の反対隣に既に座ってたナルトがげって顔をしたけど、俺はお前らの喧嘩仲裁しないからな。
案の定、ガン見しに行ったナルトがサスケにキスぶちかましてくれちゃったので、めちゃくちゃ笑った。
「笑い事じゃねーってばよ!オレってば……オレってば、初めてのキスはサクラちゃんとって」
「てめ、ナルト!殺すぞ!!」
さりげなく愛の告白という名の妄言が入ったけど無視して、震える腹筋を抑える。いつまでも笑っている俺をサスケがじっとり睨んできたので、いい加減怒られるかなって思って咳払いしてポーカーフェイスを繕うことにした。
舌打ちいただきましたけど、え、俺に対してじゃないよね?とばっちりすぎる。
そのあとイルカ先生がやってきて班を発表して、俺はやっぱりサスケとナルトの班になった。
「なんで!?」
スリーマンセルの中に一人は女の子入るしくみになってるんじゃないの?え?
「イルカ先生!!よりによって優秀なこのオレが!なんでコイツと同じ班なんだってばよ!!」
同時に立ち上がったナルトによって、俺の抗議は遮られた。
「フン……せいぜいオレの足ひっぱってくれるなよ、ドベ!」
ナルトとサスケが喧嘩し始めて、解散って言われたので俺はすかさずイルカ先生を追いかけようとするけど、腕をぐっと掴まれて阻まれた。
「え?」
「なにが不満なんだよ」
「あ、不満っていうか、聞きたい事があって」
俺が抗議しようとしたのをばっちり覚えていたらしいサスケが不満そうにしてる。ぶっちゃけサスケが一番不満そうだけどな。
笑って誤摩化してサスケの手から逃れ、俺はイルカ先生を追った。
「イルカせんせぇ!どーなってるんですか!」
「あははは、サクラ、すまん」
「もーサクラじゃねーよ!俺!!!」
思わず職員室で地団駄踏む。本当の名前でもないし、女でもないし、ほんともー困った。
「人数的にも成績的にもコレが適任なんだ。まあ、名前も性別も直しても構わないがどうする?」
スリーマンセルなのはかわらないし、下忍としての班であって、女が必要ってわけでもないだろう。色仕掛けなんて変化でも幻術でもできるんだから。
「あーもー……担当の先生は知ってるんですか?」
「ああ、事情は話してある。熱心な生徒だって言っておいたからな」
おい、なにが熱心だよ。
変装とか欺くって意味で?え?アホじゃん……女子に紛れて授業受けてるだけじゃん。



next.

スリーマンセルは男二人女一人になってるけど、別に人数の関係上全員男だったりしても良いんじゃないかなと思います。女の子が必要な任務って別に無い気がするし。だって変化とか幻術使えるわけじゃん?どうしてもな場合があったらそりゃ、ヘルプ呼ぶけど滅多にないでしょうし?うん。
Nov 2015

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