サクラ前線 05
再不斬は生きているって気づいた先生が俺達に修行を課した。チャクラについての解説を俺がナルトにしてやったけど、ナルトは結局あんまり理解しようとしなかったし、サスケとそろって術なんて使えてるだろって言い出す。ばっかやろう！まあサスケは性質を理解しているだけマシか。
「今のお前らはチャクラを効果的に使えていない！いくらチャクラの量を多く練り上げることが出来ても術によってバランスよくコントロールできなければ術の効果が半減してしまうばかりか、下手をすると術自体が発動してくれない」
結局身体でコントロールを覚えろっていうはなしだったけどな。
「ああでも、サクラは使えてるからね」
「は？」
俺を含む三人できょとんとする。あ、そうだ、俺チャクラコントロールの修行してるから、もう木登りできるんだ。下忍になってからは水の上にも立てるように練習もしたし、体術にそれなりに組み込めるようになった。リーさんとガイ先生には感謝してもしきれない。
「サクラは二人の一歩先をあるいてるんだよね」
「あははは」
前に言ったことをそのまま言われると照れる。
結局木登りは解説する時に「ついといで、サクラ」と言われたのでカカシ先生の後についてって木に登って逆さまなり、サスケとナルトを見上げるように見下ろした。
チャクラコントロールには木登りって思ってたけど、実は木登りって難しいことだったらしい。足の裏にチャクラを集めるのは最も難しいことで、持続力も必要だから維持し続けるのも難しいと。どうりですぐに出来なかった訳だ！いやでも、本当のサクラちゃんすぐにできてたけどな。
「火影に一番近いのはサクラかなぁ、誰かさんとは違ってね。それにうちは一族ってのも案外大したことないのね」
先生が俺をダシにして、木に登れない二人を煽るので、俺は無言でごすっと腰を蹴った。痛くない程度に。
「二人はチャクラの量が多いからやりにくいだけだよ！がんばれ！」
よく知らんけどとりあえず励ましてみる。
ナルトにコツを聞かれたので教えたあと、俺はタズナさんの護衛にまわることになった。
買い物についてったり、たまに二人の様子を見に行ってまたコツを教えてあげたり、ツナミさんの手伝いをしたり、カカシ先生の筋トレに重り要員で付き合ったり。
「サクラ、組手の相手してくれる？」
「！いーの！？やるやる！」
指一本の腕立て？指立て？を終えたカカシ先生はふーと息を吐いてから、俺に向き合ってそう言った。わーいやったー！
案の定先生は俺の攻撃をいなしちゃうけど、時々目を見張ったり擦ることもあるから、多少上達してると思いたい。
「また上達したね、サクラ」
「どー、もっ！」
渾身の蹴りを腕に打ち込むと、カカシ先生は後ろに飛びながら勢いを殺す。
「チャクラコントロールも上手くなってるじゃないか」
「へへへ、ガイ先生の教えが良いんですよ」
「ちょっとちょっと、どんだけガイと仲良いのよお前」
「え？ふつーですけど……時々夜にランニングします！」
朝はリーさんとだけど、と心の中で呟く。
カカシ先生はガックリしながら「お前の先生はオレだからね」と言った。あら？ヤキモチかな？
「じゃあ先生、今度から相手してくれます？」
「良いよ」
「やったね！」
地面を蹴ってカカシ先生の懐に飛び込んで回し蹴りをしたけど、あっさり抱え込まれて終了した。
「わーん！もう終わりですか！？」
「サスケとナルトが戻ってきたからオシマイ」
「あ、ホントだ」
先生の腰にぶら下がってる俺は、額の汗を拭いながら顔をあげた。ナルトとサスケは見学してたタズナさんの後ろに立っている。
どろんこの汗だくになってるから、お腹が減って戻って来たんだろう。
「サクラちゃん、キレーだったってばよ！」
「え？」
降ろされたので息を整えてる所に、ナルトが興奮しながら言って来た。
何を急に口説き始めた……？
「そうだな、綺麗なもんだ。ついつい魅入っちまった」
タズナさんまでにやって笑って褒めてくれた。あ、体術の話だよね？
「サクラは型がしっかりしてて、動きに無駄がないからね、まるで舞いみたいだ」
「ほっほう……」
サスケはむっすり口を噤んでたけど、それ以外から褒められたので顔がニマニマした。
再不斬との再戦はナルトとサスケが護衛にまわりカカシ先生が完全復帰した初日に行われた。タイミングよすぎ！
お面ちゃんも当然のように一緒にいるし、サスケはなんか「スカしたガキが一番気に食わねえ」とか言うし。
物語中一番スカしたガキだったサスケが何を言ってるのかな？
「お、おう……がんばって」
俺はタズナさんの護衛で待機して、カカシ先生は再不斬、サスケはお面ちゃん、ナルトはお寝坊な為遅刻という形で戦闘が始まった。
遅れて来たナルトはサスケに加勢したけど、濃い霧の所為で状況把握が難しい。もうちょっと気配読む練習もしないとな。
気がつけばカカシ先生に胸を貫かれて死んだお面ちゃんがいて、サスケは向こうで倒れているのが見える。
俺が心配してると思ったらしいタズナさんが一緒に行くから見に行こうって言ってくれたので、サスケの方に様子を見に行く事にした。冷たくなってるけど多分死んでない。あのお面ちゃんは手加減してたんだろうし、サスケはここで死ぬタマじゃないから。
「……こういう時は素直に泣いたらええ……」
「泣きません、サスケ死んでないから」
「は？」
医療知識はほぼないから手当が出来ないのは心苦しい。
まあ、サスケはそのうち起きるだろうから放っておいて、やってきたガトーとその一味をボッコボコにする為に身体を慣らして立ち上がる。
「せんせー」
「おまえ、まさか」
ぴっと手を挙げると、引きつった顔のカカシ先生がゆっくり指さす。
「なんもやってないんで、訓練がてら、良いですか？」
「……巻き込まれて怪我すんじゃないよ？」
「ハイ」
ナルトにクナイをかせって言ってる再不斬の隣に並ぶと、ちらっと横目で見られた。
「春野サクラ、助太刀致します！……憂さ晴らしに」
「……良いだろう」
友達でも先生でもない、ボッコボコにしても許される小汚いおっさん達ばかりなので、俺は先んじて突っ込みガトーまでの道を作る。再不斬はそれでも多少攻撃を受けてるけど、十分助けた方だとは思う。
咥えたクナイで首ぶっつんする光景はおぞましいけど、えーと、勉強になりました。
慣れって怖いなあ……いや、幻術じゃなくて現実は見るの初めてだけど。
next.
この後はまあ原作通りです。主人公は脳筋っぽいところが強く出てますね。
蝶のように舞い、蜂のように刺す！ってボクシングだっけ。考えるんじゃ無い感じるんだはカンフー？？
お気づきでしょうけど、サスサクにはならないしどっちかっていうとカカサクです。
サスケくんがむっすりしてたのは、サクラの体術を一番近くで見てたのは自分だし綺麗だって思ってたのは自分のが先だし、でも言えなかったっていうアレかな？うん？
Nov 2015