サクラ前線 06
波の国の任務が終わり、チームワークがまた乱れてきてんなって思ったら中忍試験の話が出た。そういえば砂の三きょうだいが来てたっけな。リーさんに会いにいったら、はじめてチームメイトに遭遇した。テンテンさんとネジさんはリーさんとガイ先生からちょっと聞いてたのか、俺の名前を知っているらしい。
「あなたがサクラね?」
「どうもです」
「五年ぶりにルーキーが出て来るようですね」
「上忍の意地の張り合いかなんかでしょ……」
くるくるクナイを回すテンテンは俺をちろっと見る。
「でも、あのカカシの部隊ですよサクラさんは」
「へぇ」
「面白いな……それ」
興味ありげに眉をあげたテンテンさんに続いて、ネジさんが口を開く。「まあいずれにしても、可哀相な話だがな」と言われたので決して友好的ではない。なんだろうなあ、試験で対立することはあるだろうけど、同じ里の忍者なら味方だと思うんだけど。いや、でも、ライバルでもあるのか。
「リーさん今日も宜しくお願いします!」
「押忍!」
ちょっと意地悪そうな二人はさておき、優しいリーさんに向き合って相手をしてもらうことにした。
波の国の一件以降、任務と自主練ばっかりでリーさんと手合わせはしてなかったから久々な気がする。自主練は一人でやるか、時々サスケにひっぱって連れてかれるか、運が良いときはカカシ先生を捕まえてやってた。
「サクラさん、強くなっていますね!」
「ほんと?」
手合わせを終えて汗を拭いてると、ちょっと興奮した感じのリーさんが言った。
「威力も上がっていますし、防御も早くなっています。身のこなしなんか見違える様でした」
「カカシ先生捕まえて相手してもらった甲斐があったかなあ」
「なるほど、なら上達も頷けますね」
テンテンさんとネジさんもふむふむと頷いて見学していて、ちょっと緊張する。
「ふぅん、得意武器はなに?」
「普通に手裏剣とかかなあ〜。体術と忍術の方が得意です」
「あら、駄目よ、武器も使えないと」
「テンテンさんは凄そうですね」
「わかる?」
そら、的にクナイがめちゃくちゃ突き刺さってるし……さっきもクナイなげてたしな。
と思ったけど言わないでにこっと笑っておく。
ネジさんはなー、日向の白眼があるから……体術も忍術も見破られるって意味では厄介。あと柔拳とかいうやつ。
やってみたい気もするけど、やってみたくない気もする。複雑……。
「動きは良い……が、チャクラコントロールがまだまだだな」
「うっ」
やっぱ見ていたらしいネジさんが、嫌味のようなアドバイスのようなことを言ってくれた。
折角チャクラっていうのがあるんだから、もっと上手に使えるようにはなりたいよなあ。ぬぬん。
「ありがとうネジさん、頑張るね!」
多分本人的には嫌味にしたかったんだろうけど俺は能天気に笑った。そうしたら眉を顰めてそっぽ向いてしまった。
サスケのがまだマシだな。だっておうって頷くし。
待ち合わせ当日、301教室に向かう俺はまたリーさんたちに会った。人混みの中心でリーさんが知らないお兄さんたちにボコられていた。え?リーさんめっちゃ強いのに、何でだろう。
「だいじょうぶ?」
「はい」
サスケとお兄さんが話してる間に俺はリーさんの顔を覗き込む。余裕そうに笑ってるので、多分わざとなんだろう。
テンテンさんにもちらっと視線をやると手を軽く上げて平気なことを知らせてくれた。
「オレは三階に用があるんでな」
「ここ、二階だもんなあ」
俺がぼやくと、幻術が解かれて教室の番号札が変わった。
「でも、見破っただけじゃあ……、ねぇっ!!」
お兄さんはサスケに攻撃をしかけ、サスケも足を上げて応じようとした。けど、リーさんがどちらも往なしてしまった。
「おい、お前約束が違うじゃないか、下手に注目されて警戒されたくないと言ったのはお前だぞ」
「……サクラさんの前で情けない姿は晒せません!」
「これだわ……」
ネジさんとテンテンさんは呆れていた。
「リーさんかっこいい!」
「リー……?」
サスケがぼそっと呟いたけど、多分俺が前に体術教えてもらってる先輩の名前教えたから聞き覚えがあったんだろう。
でもネジさんがサスケに名乗れって絡んでるので、リーさんと話すことなく俺達は別れた。いやでも、行くとこ同じじゃないの?
三人で三階に行こうとしてたら、今度はリーさんが改めて俺達に声を掛けて来た。あれ、ネジさんたちはいないんだ。
どうも、サスケと手合わせをしたいらしい。うちは一族に技が通用するかとか気にしてる。
「それに……」
「?」
ぱちっとリーさんがウインクしてきたので、俺も少し遅れてウインクを返しておく。
「はう!……天使だ、君は!」
「テメーがサクラの言ってた先輩とやらか……」
俺リーさんの天使だったのか……と今更思ったけど見てるうちにどんどん話が飛躍してて、どういうわけか構ってもらえてなかったナルトがリーさんにつっかかっていって伸され、その後にサスケとの手合わせが始まった。
「そこまでだ、リー」
リーさんの手の包帯を風車で壁に縫い付け、戦いを止めたのはガイ先生だ。といっても、亀しか見えないけど。
サスケが受け身を取ろうとしないので、なんとかキャッチしたけど、重たい。
「ったぁ〜……」
動揺したサスケは、受け止めてやった俺には目もくれない。まあ別に良いですけど。
「まったく!青春してるなー!お前らーっ!!」
「ガイ先生ー!!」
俺は合いの手のごとく名前を叫んだ。あの濃さにサスケとナルトはぎゃんっとショックを受けてるけど俺はもう見慣れてる。
ぶん殴られたリーさんは涙を流し、ガイ先生も同じように多岐の用な涙で応じ、抱きしめ合っていた。
next.
なげちっすはともかく、ウインクには仕返す、そんなサクラちゃんが書きたかった。だからリーさんとは知り合いにしたのです。とりあえずそんな感じで……もう続きはありません。次の話はおまけです。
Nov 2015