EndlessSeventeen


OrangeSplash 07(主人公視点)

今日も今日とて学校。暇じゃないのはすばらしい。三六五日お休みだった生活から一転して高校生活を送れる日常がある。それでも平和とは言いがたい。

「臨也ァアァ!」

ガシャァァンと窓ガラスが割れる音と、聞きなれた後輩の怒鳴り声と名前。
普通の高校の授業中だというのに校庭では暴れまわる不良……いや怪物たち。窓際の席からちらりと見下ろすと臨也がひょい、と投げられたものを避けていた。
二人とも運動神経すごいな、なんて思いながら見たままでいると臨也が顔をぱっと上げてにこりと笑う。
ひらひら、と手を振ってくるから俺もひょい、と片手を上げると、今まで臨也がいたところにサッカーゴールが投げ込まれる。
ぎょっとして飛んできた方向を見てるとふーふーと静雄が肩を震わせていた。

そんなとき、授業終了のチャイムが鳴り昼休みに突入した。生徒たちは校庭で暴れまわる二人に関わらないように、各々平和な生活を送る。俺はと言う と関わらずにはいられない立場で、いつも一緒に昼を食べるようにもなっているもんだからコンビニ袋をひっさげて、昇降口へと向かった。
一階に下りると先ほどよりも大きく障害物の音がする。よくもまあこんだけ逃げ回って暴れまわっていられるもんだと関心してしまうほど。

下駄箱は一部ひしゃげていて、ああこの辺から静雄がキレ始めたのかなんて思って自分の靴をはいた。
今日は天気がいいなあ、なんて思いながら校庭のはしに座ってコンビニの袋をがさごそとあける。今日はデザートまであるんだぜ。コンビニのおにぎりの袋をぴっと向いて食べ始める。
すると臨也も静雄もぴたりと手を止めてすたすたとこちらに歩いてきた。2人で競争しているように、だけど必死こいて走ってくるわけではなくはや歩きで。

すとん、と俺の両隣に座り込んで、臨也は『シズちゃんってホント嫌い』と呟き静雄は『臨也死ね死ねコロス』と呪文を唱える。俺は両手を2人の後ろに回して頭をガシガシとまわす。

「ほら、二人とも飯もってこいさ」

むっとしながら俺を挟んで互いににらみ合う。

「早く持ってこないと俺食べ終わっちゃうからな」

戦争の真っ只中ってこんな風なのかななんて思いながらおにぎりをひとつ平らげると、犬と猫のようにすばやく二人は昇降口に入っていった。




「あっはははは、すっかり手懐けてますねえ 先輩」
「懐いてくれて嬉しいよ」
あははと明るく笑いながら後ろから現れたのは新羅。俺も笑い返しながら返事をする。京平はちす、と律儀に挨拶をしながら傍に寄ってきた。すとん、と俺を挟んで二人は座るけど、俺の間隣は開いたまま。
「ん?何で間あけるの」
もうひとつのおにぎりをあけながら尋ねると、二人からの返答がある前に、犬と猫が戻ってきた。
「二人が怒るからね」

俊敏に静かにさっきまでいた位置に座る静雄と臨也。新羅が両手を挙げてお手上げポーズをとって、京平は苦笑いを浮かべた。

「ちょっとシズちゃん、先輩にくっつきすぎなんじゃないの」
臨也が俺の隣から身を乗り出して手をしっしっと振る。
「はあ?テメーこそどさくさにまぎれてくっついてんじゃねえ」
静雄も俺の隣から身を乗り出して臨也の手を払いのける。



 あの、ご飯食べにくいんですけど。


2011-02-14