EndlessSeventeen


XXX 03(主人公視点)

火影にお願いをされたのは下忍から中忍の任務手伝いだった。動物探しだったり掃除だったりとほとんどが雑用らしいが俺としてはそっちのほうが安全で 楽だと思い、二つ返事了承した。俺が手伝いに行くことになったのは、何の因果か波風ミナトの班だった。あの人自体が優秀でカカシだって仕事ができる子なの になんで俺の手 伝いが必要なのかは疑問だけど、任務について深く聞くのは良くないことかなと判断して何も言わずに火影に指示された場所へ行くと、金髪頭の二十代半ばの男 性が立っていた。多分波風ミナトだろうと思って一歩近づくと、あちらも俺に気がついたようでふっと笑顔を浮かべた。


「よろしく」


俺よりも少し背が高く、男前だなあと見上げていると笑っていた唇がゆっくり動いたように見えた。実際には普通のスピードだったのだが。
何を言われたのか瞬時に理解して俺もよろしくお願いしますと頭を下げる。

「えと、波風さん」
「ミナトでいいよX……いや、 、だったかな」


火影からちゃんと俺の名前は伝わっているらしい。Xという呼び名はなんだか慣れていなくて苦手だ。
そうやって呼ばれても反応が瞬時にできない自身がある。
ミナトさんの言葉にこくんと頷いてからふと辺りを見渡すと向こうから誰かが来る音がした。俺の見つめた方向にミナトさんも目を向けると、ああ……と理解し たような声を漏らした。

「オレの生徒たちだよ……リン!カカシ!」

「先生!……?」

リンとカカシと呼ばれた2人の子供がこちらに気づく。リンは顔を綻ばせるが俺の顔を見るなりきょとりと首をかしげて訝しげな表情を浮かべた。決して怪しい ものじゃないので、ほんと、誰コイツ的な視線はやめて欲しい。特にカカシ。見たこともねえよこんな奴、って顔をしてる。もともとそういう目してたけど。

俺は、自分の肩ほどの身長のカカシを見下ろす。小さいくせに生意気そうな顔だ。まだ瞼に傷がないから大分昔なのだろうと推測する。
傷がつく前ということは、オビトは何処だろうと辺りをきょろきょろ見回す。いつも遅刻してたみたいだからその辺の茂みから出てくるのかなと思っていると案 の定出てきた。

ガサ・・と音をさせて勢いよく飛び込んできた子供に俺は目を丸める暇もなく固まった。まさか見ていた所から出てくるとは思わなかった。

「ん!そろったね!」
「遅いよオビト!」
ミナトさんは弾むようにそういうが、カカシはオビトに一喝する。オビトはオビトでしょうもない言い訳をしながら息を整えていた。

「先生?この人誰ですか?」

オビトは落ち着くや否や俺の存在に気づきストレートにミナトさんに尋ねる。リンもカカシもその発言には驚いていたが俺が何なのか聞きたいようだった。ミナ トさんは俺の肩にぽんと手を置いて引き寄せる。

「この人は上忍の だ」
「上忍?」

上忍が何故ここに、とでも言いたげな表情で俺を見上げるカカシ。

「なんで上忍がいるんですかー」

オビトは俺が予想していたことをすんなりと言ってしまう。そういえば俺上忍設定なのか、いいのかな実力が伴ってない。と言うかそもそも手伝いと聞か されて るだけで、指導とかできる自信がない。

「ん!まだ言ってなかったね!これから行く任務の同行をお願いしたんだ」

そうだったのか。今1番そう思ってるのは間違いなく俺だ。なんで誰も内容教えてくれないんだろう。任務に行くとか聞いてないし。服に備え付けてある 忍具し かないと思うんだけど、間に合うのかな。殺しの任務はないって聞いてたから安心してたのに。

「よろしく」

俺は一応挨拶しないとと思って会釈をする。ミナトさんの説明にほとんど納得している子供たちは俺に習ってぺこりと頭を下げた。







任務の内容はとても単純な内容だった。単純と言っても簡単なわけではないけど。

「猫さがしィ!?!?」

嫌そうにしかめっ面で任務内容を問い返したのはオビト。こないだもやったばっかだ、とぶつくさ言う様子を見て、俺は内心笑っていた。なんかナルトみたい だ。

「うるさいよ、オビト」

カカシはオビトを一蹴してすぐに猫の特徴はとミナトさんに尋ねる。リンは決して乗り気ではないが、苦笑いしながら任務に当たるようだ。

「特徴は、」

動物探しってどうやってするんだろう。猫だからまたたびでも撒いてみたり、家の近く探したりするのだろうか。それとも猫の匂いとかで探すのかな、忍犬とか 使って。

ミナトさんが特徴を言っている最中俺はほとんど聞き流しながら立ち上がって茂みを見渡していた。あ、猫だ。
しゃがんで指をくいくいさせるとあっさりと近寄ってくる。人懐っこいにゃんこですねーと猫を褒めて宥めるように顎の下をこしょこしょするとナァゴ〜と小さ い声で鳴く猫。

「白地に、黒のブチで」

白黒で美人さんですねえ。鼻がピンクだから肉球もピンクかな。と抱き上げておなかを撫でると俺の腕の中で大の字になる。案の定肉球もピンクだ。前足がび にょんと伸びて俺の頬をタッチするのでひんやり柔らかい感触に胸を打つ。草と土の匂いがする。
首輪をつけているところから、多分飼い猫か。

「赤い首輪で鈴がついてて」

白と黒の毛に埋もれた赤い首輪に指を差し込んでくいとひっぱると鈴がチリンとなる。


「…… さん、何してるんですか?」


皆に背を向けていた俺に声をかけたのはリンだった。振り向くと同時に腕の中の猫もそちらを向く。

「ねこが……」
いたんだよ、と言う前に子供たち三人がそろって立ち上がって俺の腕の中のふわふわを指差して驚く。
「「「っあー!」」」
叫び声にぎょっとする猫は飛び上がって逃げようとするもがくが、俺が立ち上がってぎゅっとしっかり抱きしめた為逃げられなかった。


「んー、任務完了だね!」



単純と言っても簡単なわけではないと思っていたが、いとも簡単に猫を見つけてしまい任務はものの十分で終了した。猫をケースに入れて飼い主のところへ戻 した時間やら報告やらをたしても一時間もしなかった。

「楽だったけどつまんねー……」

オビトがうーうーとつまらなそうに駄々を捏ねていた。なんかごめんなさい。

2011-06-10